寄与分とは

民法では法定相続分の規定がありますが、遺言書があれば法定相続分より遺言書が優先されます。しかし実際には遺言書を作成している人は被相続人全体としては少なく、法定相続分による遺産分割協議がおこなわれることが多くあります。ただ被相続人への貢献度合いは相続人によって大きく違ってきます。

たとえば被相続人である父親の家業を手伝った場合や介護が必要な被相続人である母親の面倒をみてきた場合など、被相続人の財産の維持や増加などについて特別の貢献があった相続人に寄与分として法定相続分に上乗せした額を相続分とします。

寄与分は共同相続人による話し合いで決めることになります。話し合いがまとまれば問題ありませんが、そうでない場合や協議そのものができない場合は、寄与した相続人が家庭裁判所へ調停または審判の申し立てをします。

家庭裁判所は寄与した相続人からの請求により、寄与の時期、程度、方法、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を決めます。

寄与分がどの程度認められるのかという基準はありません。被相続人の財産形成に寄与したからといってあまり多くの寄与分を認めてしまうと、他の相続人の権利を侵害してしまうことになります。

これまでの家庭裁判所の例によると寄与分の限度は遺産全体の2分の1程度とされていますが、通常は1割から3割程度とされています。

寄与分の処分の手順は、相続財産から寄与分を除いた額を法定相続分で分割し、寄与した相続人に除いた寄与分を加算します。

寄与分が認められるのは相続人だけですので、たとえば長男の妻はいくら被相続人に対して貢献したとしても寄与分は認められません。もし長男の妻など相続人ではない人に財産を残したいと思ったら生前に贈与するか遺言書で財産を与えるとしておく必要があります。

寄与分がある場合の計算例

  • 遺産総額:6,000万円
  • 相続人:配偶者、長男、次男
  • 寄与分:被相続人の家業を手伝った長男=1,000万円
  • みなし相続財産額:6,000万円(遺産総額)-1,000万円(長男の寄与分)=5,000万円
  • 配偶者の相続額:5,000万円(みなし相続財産額)×1/2(法定相続分)=2,500万円
  • 長男の相続額:5,000万円(みなし相続財産額)×1/2×1/2(法定相続分)+1,000万円=2,250万円
  • 次男の相続額:5,000万円(みなし相続財産額)×1/2×1/2(法定相続分)=1,250万円

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