分割協議が終わらない間に遺産を処分したら

相続人は相続開始(被相続人が亡くなったとき)から相続財産を承継しますが、相続人が複数いる場合は、相続財産の承継と実際の遺産分割との間には、ある程度時間が空くことになります。

この相続財産の承継と実際の遺産分割の期間は、共同相続人全員で相続財産を共有していることになります。

共有状態ということなので、相続人のうちの誰かが売買などで勝手に処分すると他の相続人の持分まで処分してしまうことになるので、その処分は無効ということになります。

遺産分割前の相続財産についての「管理」については、相続人はそれぞれ相続財産を使用・収益をすることができます。

建物や家屋の修理などの「保存行為」は、相続人1人が単独でおこなうことが可能です。

土地を駐車場として貸すなどの「利用行為」や家屋に造作をするなどの「改良行為」は、相続分の割合にしたがって過半数の合意でおこなうことができます。

不動産の売却や建物を取り壊したりする「処分行為」は、相続人全員の合意がなければおこなうことができません。

遺産が分割されるまでの間の相続財産の管理については、相続人は相続発生後3ヵ月の熟慮期間であっても、相続財産を自分の財産と同じような注意をもって管理しなけばならないとしています。

また相続放棄をした後でも、その放棄によって相続人になった者が相続財産の管理をできるようになるまでは、同じように相続財産を自分の財産と同じように注意して管理を継続しなければなりません。限定承認をした者も同様です。

相続財産を管理している相続人の管理の方法に問題があるなど、保全が十分でないと認められる場合は、利害関係人はいつでも家庭裁判所に申し立てて、相続財産の保全に必要な措置を取ってもらうことができます。

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