相続財産の範囲

法律で「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」定められています。

動産であるか不動産であるかや先祖伝来の財産であるか被相続人が生前に自分で取得した財産であるかなど財産の種類によって相続の方法が変わることはありません。被相続人に属する権利義務は、ひとつの相続財産として区別なく相続の対象となります。

また「一切の権利義務」なので、相続の対象となるのは、権利だけでなく借金などの義務も含まれます。

権利つまりプラスの財産としては、現金や預貯金、自動車、家具、貴金属、美術品、借地権、借家権、有価証券、株式、売掛金債権、貸金債権、知的財産権、特許権などがあります。

義務つまりマイナスの財産としては、借入金債務、物の返還債務、損害賠償債務などがあります。

また、権利義務として具体的に発生していない法的地位も相続人に承継されます。たとえば、契約の申し込みを受けた地位などが当てはまります。

このように被相続人に属する権利義務がすべて一体として包括的に相続人に承継されることを包括承継といいます。包括承継の効力は、相続開始時つまり被相続人が亡くなったときに生じます。相続人が相続開始を知っているかどうかや、自分が相続人であることを知っているかどうかは関係ありません。

ただ例外もあります。被相続人の一身に専属した権利や義務は相続の対象となりません。具体的には、その人にしか制作できない芸術作品を制作する債務やその人の自由や名誉、氏名などの人格的な利益が一身に専属した権利といえます。

ページの先頭へ