遺産分割後に新たな相続人が判明したら

相続財産は相続開始の時から相続人に承継され、相続人が複数いるときは相続分に応じた共有となります。

遺産分割協議は、この相続財産の契約による処分なので、相続人全員の合意によって行わなければならず、一部の相続人を除いて行われた遺産分割は無効となります。

したがって、遺産分割協議を行うにあたっては、被相続人の出生から死亡までの戸籍を調査して相続人をきちんと把握する必要があります。

また相続人の一部が所在不明である場合には、「不在者財産管理人」を選任して、遺産分割手続きを進めなければなりませんし、相続欠格に該当するかどうかに争いがある場合や推定相続人の廃除の請求がされている場合には、その紛争の結果が出てから遺産分割を行うことになります。

遺産分割当時は戸籍上存在しなかった相続人が、遺産分割後に出現することがあります。

例えば、遺産分割後に認知によって相続人になる場合がありますが、この場合、民法では相続分に応じた価格(金銭)の請求のみを認めており、すでに行われた遺産分割は無効とはなりません。

認知は出生のときにさかのぼって効力が生じるので、遺産分割後に認知された者も相続開始のときに相続人であったことになりますが、認知の遡及効は第三者がすでに取得した権利を侵害することはできないとされているため、遺産分割後に認知によって相続人となった場合でも遺産分割のやり直しを求めることはできません。

そこで、このような相続人の権利を保護するために、遺産分割が終了した後に認知された者は、相続分の価格を請求する方法を認めています。

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