NPO法人の設立要件
NPO法人になるには、活動目的や組織等に関する要件を満たす必要があります。
特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
「特定非営利活動」とは、次のいずれにも該当する活動のことをいいます。
- 法に定める20の活動分野に該当する活動
特定非営利活動の20分野 - 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とすること
「主たる目的」としているかどうかは、団体の活動の質・量の両面から判断されることになります。
不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とすること
「不特定かつ多数のものの利益」とは、利益を受ける人が特定されない多数の人の利益、つまり社会全体の利益=公益を意味します。
特定の個人や法人その他の団体の利益(私益)や構成員相互の利益(共益)は、不特定かつ多数のものの利益とはいえません。
営利を目的としないこと
「営利を目的としない」とは、収益を目的とするような事業を行ってはいけないということではなく、構成員(役員・社員)に対して剰余金(利益)を分配したり、財産を還元したりせず、本来の事業である特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならないということです。
なお、法人の職員などに対して、労働の対価として正当な賃金等を支払うことは、利益の分配にはあたらないとされますが、それがあまりにも高額な場合は、利益の分配と判断されることがあります。
宗教活動を主たる目的としないこと
宗教活動とは、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することをいいます。
政治活動を主たる目的としないこと
政治活動とは、政治上の主義の推進、支持、反対することをいいます。政治上の施策を推進し政策提言することは、政治活動には該当しません。
選挙活動を目的としないこと
選挙活動とは、特定の公職の候補者若しくは公職者又は政党の推薦、支持、反対することをいいます。
特定の公職とは、公職選挙法3条に規定する公職をいい、具体的には衆議院議員・参議院議員・地方公共団体の議会の議員及び首長をいいます。
選挙活動に関しては、「主たる目的」としないだけでなく、「従たる目的」であっても一切行うことができません。
法人の役員が個人として特定の候補者や政党を推薦等することまで制限されているわけではありません。
社員が10人以上いること
社員とは、会社員や従業員のことではなく、「社団(人の集まり)の構成員」のことをいい、総会において議決権を持つ人を指します。
社員は、個人法人を問わず、日本人だけでなく外国人もなることができます。
社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
「不当な条件を付さない」とは、原則として誰でも社員になることができ、またいつでも社員をやめることができることをいいます。つまり社員の自由な意思によって加入・脱退ができるということです。
これは、NPO法人の民主的な運営の観点から、理事が恣意的に団体を支配することがないように定められた要件です。
ただし、一切の条件を付けることを禁止したものではなく、あくまで「不当な条件」を付けることを禁止したものです。条件を付ける場合は、活動目的や事業内容に照らして合理的かつ客観的な条件だと認められる必要があります。
役員として、理事3人以上、監事1人以上を置くこと
役員とは、理事及び監事をことをいいます。
理事は、法人の代表機関であるとともに、業務を執行する機関です。
監事は、法人の財産状況及び理事の業務執行状況を監査する機関です。
役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
報酬とは、役員(理事及び監事)としての活動に対して支払われる報酬をいいます。
必要経費としての交通費や職員としての給与などは報酬には含まれません。
報酬額については、特に規定されていませんが、合理的に範囲を超えると実質的な剰余金(利益)の分配とみなされる場合があります。
役員総数の3分の1以下とは、具体的には役員総数が
4~5名なら1名まで
6~8名なら2名まで
9~11名なら3名
12~14名なら4名
となります。
役員のうち、それぞれの役員について、その配偶者若しくは3親等以内の親族が1人を超えて含まれ、又は当該役員並びにその配偶者及び3親等以内の親族が役員の総数の3分の1を超えて含まれないこと
具体的には、理事及び監事合わせて6人以上いる場合に限り、自分以外に配偶者又は3親等以内の親族を1人だけ役員に加えることができます。
5人以下の場合は、自分以外に配偶者又は3親等以内の親族を加えることはできません。
また、理事及び監事合わせて9人以上いたとしても、自分以外に配偶者又は3親等以内の親族を加えることができるのは、あくまで1人までです。
役員のペアは、1つに限られているわけではありません。例えば、3組の夫婦計6人で役員になることもできます。
役員が下記の欠格事由に該当しないこと
- 成年被後見人又は被保佐人
- 破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 以下の理由で罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 特定非営利活動促進法の規定に違反した場合
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反した場合
- 刑法第204条(傷害)、第206条(傷害及び傷害致死の現場助勢)、第208条(暴行)、第208条の2(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)、第247条(背任)の罪を犯した場合
- 暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯した場合
- 暴力団又はその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者
- 設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で、設立の認証を取り消された日から2年を経過しない者
暴力団でないこと、暴力団又はその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと
上記記載の通りです。