NPO法人のメリット・デメリット
メリット
法律行為の主体となれる
法人格を取得することによって、法律上、人と同じ位置づけとなるので、代表者など個人ではなく、団体自体が権利義務の主体となることができます。
- 契約関係
法人名義で契約を締結することができ、代表者が交代したときでも契約自体を締結し直す必要がありません。 - 資産関係
任意団体では団体名義で銀行口座の開設や借入をすることはできませんが、法人であれば法人名義でこれらが可能となります。また、所有権の主体となることで物の所有やサービスを継続して受けられます。任意団体であれば、所有権の主体は個人となるので、代表者が変わればその都度、所有権の移転手続きが必要となります。 - 損害賠償関係
個人の責任が区別され、法人として損害賠償の責任を負うことで代表者個人の責任が軽減されます。
社会的信用が得られやすくなる
法人格を取得することによって、法律に定められた法人運営や情報公開を行うことになるので、組織の基盤が安定するとともに、団体の目的が非営利・公益であることを明らかにし、社会的な信用が得られやすくなります。
- 職員の雇用、事務所の賃借がしやすい
職員を雇う場合、幅広く人材を集めることができ、事務所も借りやすくなります。 - 寄付金
公益目的であることが明確になり、個人・法人から寄付金を集めやすくなります。また、税法上の収益事業以外の事業に対して寄付金を受けるとき、任意団体の場合だと個人とみなされるので贈与税の課税対象となりますが、NPO法人の場合は原則非課税となります。 - 自治体の事業や助成金・補助金が受けやすい
NPO法人が行政の仕事を請け負ったり、法人でなければ行政からの委託を受けられない事業(介護保険法による各種サービス事業など)もあります。また公益目的の明確化などにより委託事業や助成金・補助金などが受けやすくなります。
設立費用がかからない
NPO法人は、株式会社や一般社団法人などと違い、公証役場へ支払う認証手数料(約5万円)や設立登記の際に必要な登録免許税(株式会社15万円、一般社団6万円)が必要ありません。
資本金という制度もありませんので、0円で設立することができます。
広告宣伝費が抑えられる
NPO法人は、情報公開が義務づけられているので、どのような団体なのかが事前にわかり、支援活動などがマスコミに取り上げられやすいといえます。
任意団体や企業であれば、このような情報はだいたい広告として扱われ、有料で掲載してもらうことになります。
デメリット
事務作業が増える
NPO法人になると、毎年事業報告書や計算書類、財産目録などを監督官庁である都道府県または政令指定都市に提出し、活動状況を報告しなければなりません。
日常の事業運営でも、会計帳簿を整備し、法律に定められた書類を作成し、法人に一定の変更内容があれば、届出や登記をしなければなりません。
納税の義務が生じる
NPO法人は、非営利・公益のために活動しているからといって税金がかからないということはありません。
法人格を持つことで課されるものや、所得に対して課されるもの、資産を持つことで課されるものなどさまざまな税金がかかってきます。
そして一部の税金を除いて、納める税金はNPO法人が自ら計算し、納付しなければなりません。
NPO法人にかかる税金
社会保険等の負担が生じる
職員を雇用し、労働保険や社会保険といった各種保険が適用される場合、雇用者として事務手続きや保険料の負担が発生します。
残余財産が戻ってこない
NPO法人は公益に対する活動を主な目的とした非営利の法人であるため、解散したときの残余財産を関係者で分配するなど自由に処分することができません。
任意団体のように解散するときや辞めるときに返還することはできません。
罰則規定がある
NPO法人は、NPO法や定款に従った運営がされているかなど所轄庁によって監督されることになっています。これらの決まりが守られていない場合、所轄庁はその法人から報告を求めたり、立ち入り検査や改善命令、認証の取り消しをする場合があります。
また、改善命令に違反したり、一定の手続きを怠ったりした場合、罰金や過料に処せられることもあります。