成年後見等の申し立て手続き

申し立て権者

成年後見等の開始の申し立てができる申立権者は、主として本人、配偶者、4親等内の親族、検察官等です。また、特別法により、任意後見の受任者、任意後見人、任意後見監督人、市区町村長にも申し立てが認められています。

申し立て方法

成年被後見人等になろうとする者本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します。なお、申し立ての際には成年後見人等の候補者を明らかにしておくのが実務の扱いです。また、申立書の書式については家庭裁判所ごとに異なる書式を用いている場合がありますので、事前に管轄家庭裁判所に問い合わせをする必要があります。

必要書類

後見等の開始の申し立てをするにあたっては、概ね以下の書類を添付する必要があります。なお、必要となる添付書類の扱いが裁判所ごとに異なる場合がありますので、申し立て前に管轄家庭裁判所にご確認ください。

本人について

  • 戸籍謄本
  • 住民票の写し
  • 後見登記がされていないことの証明書
  • 診断書

成年後見人等候補者について

  • 戸籍謄本
  • 住民票の写し
  • 後見登記がされていないことの証明書

申立人について

  • 戸籍謄本
  • 住民票の写し

申し立て費用

  • 申し立て手数料(収入印紙)800円
  • 登記手数料(登記印紙)4,000円
  • 郵券

※保佐人に代理権を付与する審判または保佐人の同意を得ることを要する行為を追加する審判の申し立てをするには、申し立てごとに別途、収入印紙800円が必要になります。また、補助開始の審判をする場合、同時に補助人に同意権または代理権を付与する審判を行う必要がありますが、これについても申し立てごとに別途収入印紙800円が必要になります。

申し立て後の流れ

申し立てから審判まで

申し立てが受理されると、家庭裁判所は、概ね以下の事項について審理した上で、審判を行います。申し立てから審判までに要する期間は、標準的なケースで3ヶ月程度です。

  1. 申立人、成年後見人等候補者からの事情聴取
    本人の心身の状態や現在の監護状況、親族等との人間関係、財産状況、申し立てに至った動機、経緯等について申立人や成年後見人等候補者から事情を聴取します。
  2. 本人の意向等の確認
    家庭裁判所は、後見等開始の審判をするには、後見を開始することについての意向等に関し、本人の陳述を聞かなければならないことになっています。
  3. 親族の意向確認
    また、家庭裁判所は、申し立てがなされると、書面または面談等の方法により、本人の親族に対して、後見等の開始についての意見を確認します。本人の監護や財産の管理方法について、親族間で意見の対立がないかどうかを調査する趣旨で行われるものです。
  4. 本人の精神鑑定
    また、後見開始及び保佐開始の審判をする場合(補助については必ずしも鑑定を要しないものとされています)、本人の精神の状況について、医師その他適当な者に鑑定させなければならないものとされています。通常は医師が鑑定を行います。なお、鑑定に要する費用(5万円~10万円程度)は、申し立ての際、申立人が家庭裁判所に予納するのが一般的です。また、申し立ての際に添付する診断書作成を医師に依頼する際、事前に鑑定についても内諾を得ておくのが実務上は便宜です。
  5. 成年後見人等候補者の的確性についての審理
    成年後見人等を選任する場合、本人の心身の状態や生活状況、財産状況、成年後見人等になる者の職業・経歴や本人との利害関係の有無(法人が成年後見人等になろうとする場合、その事業の種類・内容や法人の代表者と本人との利害関係の有無)、本人の意見等一切の事情を考慮してその的確性を家庭裁判所が判断することになります。なお、未成年者、破産者、民法847条に所定の者は、成年後見人等に就任することができません。(欠格事由。民法847条、876条の2第2項、876条の7第2項)

審判から成年後見等の開始まで

  1. 不服申し立て

    成年後見等開始の審判がなされた場合
    成年後見等開始の審判がなされた場合、この審判に不服のある本人、配偶者、4親等内の親族等、家事審判規則に定められた者は、成年後見人等に対する告知の日から2週間の期間内に即時抗告の申し立てをすることができます。(家事審判規則27条1項、30条の4第1項前段、30条の12第1項前段)

    成年後見等開始の審判を却下する審判がなされた場合
    申立人は、審判の告知を受けた日から2週間の期間内に即時抗告することができます。(家事審判規則27条1項、30条の4第2項、30条の12第2項)

  2. 審判の確定
    審判の告知から2週間の経過により、審判は確定します。
  3. 親族の意向確認
    また、家庭裁判所は、申し立てがなされると、書面または面談等の方法により、本人の親族に対して、後見等の開始についての意見を確認します。本人の監護や財産の管理方法について、親族間で意見の対立がないかどうかを調査する趣旨で行われるものです。
  4. 登記嘱託
    後見等開始の審判が効力を生じたきは、裁判所書記官は、遅滞なく後見登記等に関する法律に定める登記を嘱託しなければならないものとされています。(家事審判法15条の2、家事審判規則21条の4第1項1号)

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