成年後見人等の職務

成年後見人等(後見人・保佐人・補助人)は、家庭裁判所から与えられた権限(任意後見の場合は契約)に基づいて、判断能力の低下した本人の預貯金の出し入れや不動産の管理といった財産管理をしたり、診療・介護・福祉サービスなどの利用契約を行ったり、本人の心身の状態や生活状況に配慮することによって生、本人の権利を守り、自分らしい生活を送れるように支援していくのが仕事です。

民法858条には、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うにあたっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」とあります。この条文によると、成年後見人は「療養看護(身上看護)」と「財産管理」をするとされています。

療養看護(身上看護)について

身上看護とは、具体的には本人の希望を聞き取りまたは汲み取って、その意思を把握し、その希望に沿って、福祉サービスやレクリエーション等を手配して、本人が自分らしい生活を送れるように支援することです。しかし判断能力の低下した本人の意思を尊重するためには、優れたコミュニケーション能力が要求されます。

財産管理について

財産管理とは、日常生活における金銭の出し入れ、入所施設やヘルパーなどの福祉サービス、病気や怪我があったら医療サービスへの支払い、不動産の管理、税金の支払い等、本人に代わって日々の財産を適切に管理します。そして、その金銭の収支を記録しておき、定期的に家庭裁判所に報告します。なお、本人の居住用不動産の売却などの処分に関しては、家庭裁判所の許可がないと行うことができません。

注意点

成年後見人とは何でもしてくれる人だと誤解されていることが多いのですが、成年後見人等は契約の締結などの「法律行為」を行って本人を支援するのが原則であり、食事の世話や排泄介助といった「事実行為」は行いません。ただし、契約締結のために本人の意思を把握するための面談といった「法律行為に付随した事実行為」は、成年後見人等の職務の範囲と考えられています。

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