公証証書による強制執行手続き

養育費などの支払いが滞った場合に公正証書による強制執行を行うには、「送達」と「執行文付与」という2つの手続きが必要です。

送達とは

「送達」とは、債務者に公正証書を渡し、その内容を知り得る状態にしておくことをいいます。送達には、「交付送達」と「特別送達」があります。

「交付送達」とは、債務者本人が公正証書作成のために公証役場へ出頭した際、公証人が直接、債務者に公正証書の謄本を手渡しすることによって送達を完了させるものです。

「特別送達」とは、公証役場から公証人の名前で債務者宛に公正証書の謄本を郵送することによって送達を完了させるものです。特別送達は、公証人によって行わなければならず、当事者同士で郵送をしても効力はありません。

送達が完了すると、債権者に「送達証明書」が発行されます。強制執行を行うには、この「送達証明書」が必要になります。

送達にかかる費用には次のとおりです。

  • 送達手数料 1件1,400円
  • 送達証明書 1通250円
  • 送料実費

送達は、公正証書作成と同時に行うほうがよいでしょう。支払いが滞ってから送達する場合だと、強制執行まで時間がかかるだけでなく、相手方の所在地がわからなくなって送達ができない恐れがあります。

強制執行の手続きは、債務者の住所地を管轄する地方裁判所で行います。

執行分付与とは

「執行文付与」とは、公証人が債権者が持つ公正証書の正本に強制執行ができるということを証明するものです。執行文付与の手数料は、1,700円です。

執行分付与の手続き方法

  • 公正証書の正本を持っている債権者が、公正証書を作成した公証役場に出向き、執行文の付与を請求します。郵便による請求も可能です。
  • 公証人が執行文を付与しても差し支えないと判断したときは、公正証書の正本の末尾に、「甲が乙に対しこの証書により強制執行できる。」旨の文言を記入して、債権者に返却します。
  • 管轄が異なる複数の不動産に強制執行する場合は、執行機関の数だけ執行文の付与を受ける必要があります。

執行分付与の必要書類

  • 執行分付与申立書
  • 強制執行認諾条項付きの公正証書正本
  • 本人確認資料(マイナンバーカード、運転免許証等の顔写真付きの身分証、又は実印及び発行後3ヵ月以内の印鑑登録証明書)
  • 返信先を記載したレターパックプラス又書留郵便用の切手を貼付した返送用封筒(郵便よる場合。返信先の宛名は申立人又は代理人の住所地を記載、かつ本人確認資料記載の住所地と一致していること)
  • 戸籍謄本(離婚公正証書作成時と名前が変わっている場合)
  • 住民票(離婚公正証書作成時と住所が変わっている場合)

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